爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「安い水素が世界を変える」とか。

色々とおかしなニュースを配信し楽しませてくれるNHKおはようニッポン6時台ですが、今回は「安い水素が世界を変える」のだそうで。

https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2022111718332

(これはNHKプラスですので、会員以外は見られないかもしれません)

内容を少し紹介しますが、水素は製造コストが非常に高いために普及が進まないところ、イスラエルの企業が電気分解の新方式を開発し、コスト減が可能となるというものです。

水を電気分解し水素を製造する工程では、同時に酸素が発生しそれが爆発につながる危険性があるために電極の間に特殊な分離膜を置く必要があるのですが、それがコスト増につながっています。

それを特殊な電極を開発することにより、酸素の同時発生を押さえることができ、分離膜は不要となるためにコスト減が可能となるというものです。

その額は10分の1まで減らすことが可能だとか。

これで水素1㎏あたり1ドル程度で製造でき、他の燃料とも対抗できるそうです。

 

脱炭素の掛け声の下、水素というものを石油などの化石燃料に代えて自動車などの燃料としようとする動きが強まっていますが、現状では安い製造法は化石燃料からの製造といったものが主流であり、電気分解法の製造はコスト的にはまったく比較にならない程度です。

それが十分に競争力を持つということですが、どうでしょうか。

 

電気分解で発生する水素と酸素による危険性を除去するための分離膜がコストの問題だとしていますが、それを廃止するだけでコストが10分の1というのはとても信じられません。

電気分解法のコスト高の要因はとにかく「電気代」にあるのではないでしょうか。

 

しかも現在の「ほとんど火力発電」での電気代でも競争力が無くなる程度のものです。

これがさらに電気代としては跳ね上がる「太陽光発電」や「風力発電」の時代になれば水素製造にかかる電気代もさらに跳ね上がるはずです。

 

自動車の電気化は蓄電池製造用の資源の制約でかなり厳しくなるはずです。

そのために水素に期待する向きがあるようですが、そううまい話があるはずもありません。

こういった「もしかしたら上手く行くかも」と期待をさせる話を報道するというのは、本当に進むべき道、自動車社会からの転換ということを真剣に考えることをおろそかにさせるものでしょう。