爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

国会改革私案

国会改革こそ憲法改正で決めるべきことだと書きましたので、これまでの知見を基に国会改革私案を考えてみます。

 

1、1院制か2院制か

 1院で十分という考えもあるでしょうが、やはり暴走を防ぐという意味から2院制が必要でしょう。

 その2つ議院の性質を変える必要があるかどうか。

 いつものように、ウィキ頼りをしてみるか。

両院制 - Wikipedia

まず、名称として「両院制」という方が妥当なようです。

その構成ですが、世界各国の制度を見ても、上院の形式として、

連邦型

貴族院

民選議員型(民主的第2次院型)

など様々なものがあるようです。

日本は民選議員型に分類されており、下院(衆議院)と同じような方法で上院(参議院)も選出するという方式ですが、実はこのような両院制というものは世界でも少ないことが分かります。

アメリカは連邦型、他にドイツやオーストラリアも。

貴族院型はイギリスが典型的なものですが、「下院で作られた法案を上院は修正はできるが阻止できない」となっているように、権限が限られているようです。

 

どれが優れているか、欠点はどこかということを考える必要はありますが、近年何度も現れては政治の停滞を招いた「ねじれ国会」を防ぐという意味では権限を縮小した上院を作り、修正能力だけを残すような形がふさわしいと思います。

 

2.議院内閣制か大統領制

首相と呼ぶか大統領と呼ぶかは問わず、最高権力者を議院での多数派から出すか、直接公選制で選んだ者が政府を作り政治に当たるかどうか。

日本は天皇が居るから元首は不要という考え方もあるでしょうが、政治的な権力は完全に否定されている天皇の存在と、大統領などの存在は別に両立不可能ではないでしょう。

ただし、アメリカなどを見ても大統領と議会多数派が異なる勢力となった場合にはかなり政治の停滞を招くようで、これはねじれ国会どころの話ではなくなりそうです。

また、議院内閣制では内閣の長と最大政党の長が重なることになり、権力の集中の害が大きくなりすぎるというのは、現在の日本の状況を見れば良く分かります。

 

問題はあちこちにありそうですが、現状は小選挙区制を採用しているという制度とも関わりますので、これを是正すれば議院内閣制の方がまだマシではないかと考えます。

 

3、選出方法

そして、ここが中心となります。

衆議院議院はこれまで通り公選制。

ただし、これまでの選挙制度はさまざまな問題点を含んでおり、とてもこのまま存続させるわけには行きません。

 

そこで、「完全大選挙区制」を取ります。

つまり、定数500(この数は一例)を「全国を1区とする選挙区で選出する」というものです。

現在の小選挙区制では、1票でも少なければ落選、仮に全選挙区でその状態となるとすると、得票率51%で全議席制覇の政党と、同じく49%で議員0の政党が出る可能性があります。

これはあまりにも不公正、不当であり、民主的な制度ではありません。

(なお、すでに現状もかなりこれに近い状況です)

一方、完全大選挙区制とするなら、有権者が投じた票のほとんどが死票となることが避けられ、ある程度まとまった票が得られる候補者は議員となることができます。

これで、政党あるいは個人の候補者の有権者支持率と、選挙結果としての議員数が限りなく近づくという、公正な選挙結果が得られるものと考えられます。

 

この方式が良いと言っても、「地方の意見が通らない」などといった反論をする人もいるでしょうが、それは現在の自民党などの政党の状況を考え、それに囚われた感覚だからこそです。

地方の意見が通したければ、地方だけの政党を作り政策協議で全国政党と話をつければよいだけのことです。

「熊本党」とか、「鹿児島党」といった政党を作り、「熊本のため、鹿児島のためだけに働きます」という公約を掲げて選挙を戦えば、ある程度の議員は確保できるのではないですか。

 (なお、現在の政権与党が”地方の声を聞いて政治に生かしている”などということはまったく無いと考えます。それどころか昔から一貫して地方を衰退させ東京一極集中を進めてきたのがその姿です)

 

次に、参議院ですが、これは現状よりはるかに権限を縮小するということですが、衆議院とは選出方法を大きく変えて何らかの政治的主張を明らかにすることになります。

結局は「貴族院型」といった指名制に近いものにするか、アメリカのような連邦型で各都道府県2名ずつといったものにするかということになります。

 

指名制といっても、すでに日本には貴族は無く、まさか各業界から代表者というわけにも行かないでしょう。

有識者」なんていうのも胡散臭いイメージばかりです。

一方、「各都道府県」というのも現状の都道府県というものがアメリカの州とは異なりそれほど権限があるわけでもなく、地方によってその独立性にも大きな差があるという状況で、難しいでしょう。

 しかし、政権からの指名というわけにも行かず、他に指名委嘱をする上手い方法は無いでしょうから、やはり何らかのグループを作りその中で公選制を取ることになるでしょう。

ただし、あくまでも法案の修正程度にとどめ、衆議院に反する議決はできないようにしておくべきでしょう。

 

4,忘れてはいけない重要なものが「解散の制限」です。

現行の規定でも、総理大臣に衆議院の解散権があるのかというのは問題点のようです。

議会が首相の不信任案を決議し、それに対して首相が議会を解散するというのは無くてはならない規定かもしれませんが、現状のように何の正当性もなく、ただ「今選挙をした方が有利」だというだけの理由で首相の勝手で解散できるということは、国民に選ばれた議員に対する冒涜です。

 

今の所、思いつくのは以上のようなものです。

公職選挙法で決めるには少々大きすぎるようであり、憲法に明記すべきことではないかと思いますが、いかがでしょうか。