また、「出張帰りの車内で読み飛ばしてそのまま捨ててきても良かった」ような本ですが、その本をきちんと保存してまた読み返してしまうというのが我ながらすごいところです。
著者は匿名で「素朴な疑問探究会」となっていますが、ある程度は化学や生物に詳しい人たちのようです。
内容にはそれほど明らかな誤りはないように見えました。
それでも中には私でも意外なものもあり。
マニキュアの光沢を出す物質というのが、「魚鱗箔」といい、魚のウロコを微粉末にすりつぶし精製したものだそうです。
日本で使われているものは輸入が主で、韓国産はタチウオから、カナダ産はニシンから作られているとか。
車のタイヤがどれも真黒なのには原料に理由あり。
タイヤの主原料は天然ゴム、合成ゴムなのですが、それだけでは強度が足りないために炭酸カルシウム、イオウとともに炭素粉が使われています。
その炭素粉の量が非常に多いため、どうしてもタイヤの色も黒になってしまうのだそうです。
ただし、中にはちょっと疑問のものもあり。
「森林を破壊しない紙の新素材が開発された」と題して書かれていたのが、何かと思えば「ケナフ」
アオイ科の植物で非常に成長が速く繊維質が多いため紙の原料に使えるというものです。
しかし、これも紙の原料にするために大量に栽培されれば森を切り倒すのと大して変わらないような環境破壊を起こしますし、そもそもそれだけ大量の栽培地を確保するには多くの森林を切り開かねばならないのでは。
「プラスチックの原料は石油と決めつけてはいけない」とは言うものの、例として挙げられていたのはセルロイド(ニトロセルロースが原料)と、シリコーン(ケイ素が原料)であり、ほとんどが石油由来なのがプラスチックというのは変わらないようです。