爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「新幹線不思議読本」梅原淳著

1964年、前の東京オリンピック開業の直前に開業して以来、全国に路線を伸ばし走り回っている新幹線ですが、その詳細はあまり知られていないことかもしれません。

 

子どもの頃から鉄道ファンの私ですが、この本の知識はかなり細部にまで及んでおり、知らないこともたくさん書かれていました。

 

まず「新幹線」という名称から。

国鉄の公式見解では、1956年には国鉄内では新幹線と呼ばれるようになったと言われています。

しかし、戦前の弾丸列車構想から由来するこの新幹線という計画は、やはりその当時から島康次郎特別委員長によって「新幹線計画」と名付けられていたようです。

 

東海道新幹線開業時から始発駅であり、今の新幹線網でも中心地である東京駅ですが、この最初の始発駅はすんなりと東京駅と決まったわけではなかったようです。

1959年当時、東京の始発駅候補地は14か所、現在の東京駅付近でも八重洲口側と丸の内側とは別の案でした。

他にも、代々木公園、神宮外苑淀橋浄水場跡地、飯田町貨物駅、品川駅など多くの候補があったのですが、どんどんと絞られていき結局は東京駅八重洲側ということに落ち着いたそうです。

ただし、総工費は残った候補地の中でも最大になり、東北方面への延伸も難しいと考えられていました。

それでも在来線への乗り換えが一番便利なためここに決まったということです。

 

今では車内は禁煙というのが当たり前のようですが、それが初めて登場したのは意外に新しく、1976年でした。

この時は東京新大阪間を走るこだま号の16号車の1両だけが禁煙車となったのでした。

それからどんどんと禁煙車が増えていき、1990年代になって禁煙車と喫煙車の比率が逆転、その後全車両禁煙に向かって行きました。

これはもちろんタバコを吸わない人たちの健康を考えてのことですが、車内の灰皿の掃除というのも大変な作業で、折り返しの時の車内清掃の時間がかなり短縮できたそうです。

 

2007年出版の本ですので、まだ北海道新幹線北陸新幹線長野以遠、九州新幹線博多新八代間はまだ開業していない時のものでした。

車両もN700そして九州用の800型が最新ということで、その後のものはまだ登場していませんが、新幹線にまつわる様々な事柄がよく分かるものとなっています。

 

新幹線不思議読本 (朝日文庫 う 14-1)

新幹線不思議読本 (朝日文庫 う 14-1)

  • 作者:梅原 淳
  • 発売日: 2007/04/06
  • メディア: 文庫