爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「水素製造に再エネ発電を使う」ことは本当に可能なのか

水素やアンモニアを燃料として使うという話が噴出していますが、その製造が問題ということはどこでも書いてあります。

project.nikkeibp.co.jp現状の製造方法では、かえってCO2を大量に排出するということも指摘されており、そのままでは成り立つ技術ではないのですが、お決まりの「技術開発が進めば可能になる」から将来性ありという論法で希望があるかのような言われ方です。

 

特に水素製造では、さすがに現在主流の天然ガスなどからの製造はまずいと言うことは広まっているようで、そこで言及されるのが「再生エネルギー発電を使って水からの電気分解」ということです。

 

これも「再生エネルギー発電」すなわち太陽光発電風力発電が現状では電力供給のラインに乗り難い低品質電力であるということが知れ渡ってしまったことで、その電力を何とか使おうという辻褄合わせなのでしょう。

 

風力発電などがなぜ低品質かと言えば、発電の安定性がもともとほとんど期待できず、出力の変動が大きいために電圧や周波数変動が大きくなり、使用側の装置に大きな悪影響を及ぼすからです。

コンピュータなどの精密電子機器ばかりでなく、多くの電気機械では電圧変動などは致命的な打撃を受けることになります。

 

そんな役立たずの再エネ発電ですが、それを「水電気分解での水素製造」に使えるのでしょうか。

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/electrochemistry/71/4/71_274/_pdf

ここに引用した技術論文は、実際の電解装置などを紹介したものではありませんが、この運転には「原子力発電の電力が有効」とあります。

しかし、さすがに「風力や太陽光発電の電力使用を目指すべき」だとも指摘されてはいるものの、その問題点は無いのかどうか検討はされていないようです。

 

電圧などが変動だらけの電源でも、それをつないでおくだけで反応が進んでくれるような便利な装置なんでしょうか。

 

なお、文中にはもっと問題となるものがありました。

電解装置には触媒が不可欠なんですが、従来技術ではイリジウム系合金が使われているそうです。

ここでまた「レアメタル問題」がやってきそうです。

なお、最近の装置開発では触媒の検討もされているようですが、これが大量生産可能なものかどうか、そこから検討すべきでしょう。

 

どうやら「夢の技術」の水素やアンモニアのエネルギー化はそのまま「夢」で終わるようです。