爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント」西原理恵子著

マンガ家の西原理恵子さんは、その生い立ちについてあちこちに書いていますが、波乱万丈というべき壮絶な人生をおくってこられたということです。

そういった西原さんにフツーのちょっと困ったことがあるといった程度の人々が「お悩み相談」をしても、あまり参考にはならないのではと感じますが、この本ではそういった60人の質問に西原さんが独特の答えをしているのが特色となっています。

 

これが本当の人生相談とお答えなのかという疑問もありますが、まあよくあるような人生相談よりははるかに面白いというのは確かでしょう。

 

都内で小さな居酒屋を経営している、42歳男性という方の相談です。

常連さんの中で一人、酔うとやたらと声が大きくなり、他の客にあたりかまわず話しかけうるさくて仕方ない。他のお客さんの迷惑になっているが、入店お断りにするのも気が引ける。

というものですが、それに対して水商売も百戦錬磨の西原さんの答えは次の通り。

スナックやバーのマダムの技に学べ。

そういった人たちは常連で酔っ払うと酒癖の悪い連中を上手く扱って気持ちよく帰らせるのが仕事。そのくらいのことができなきゃ飲み屋営業は無理。

ということでした。

 

小さなデザイン事務所経営の46歳男性。

独立前の会社員時代の知り合いから、独立したけれど事業がうまく行かないので100万円貸してくれと頼まれたが、以前の行状から信じ切れず貸さなかった。しかしその後彼が失敗し亡くなったと聞いて後悔している。貸した方が良かったのか。

これについては、そういった修羅場を多く経験している西原さんの答えがピタリでしょう。

そういった彼なら貸しても上手く行かなかったのは間違いなし。

ただし、だから断るというのも気持ちがもやもやする。

そういう時は、相手が欲しいという金額の10分の1を「あげる」こと。

100万貸しても返ってこなかったらいつまでも腹が立つが、10万「あげた」ならあきらめがつく。

その後も友人関係を続けられるかもしれない。

これは西原さんが親しい高須クリニックの高須先生の教えだそうです。

なかなか深い人生経験を感じさせる言葉でした。

 

ほかにも、ちょっとここでは書きづらいような、それでいて人生や人間関係をピタリと言い表しているような話が数多く紹介されていました。