世界各国に仕事のために赴く人々は増えており、それにつれてテロや犯罪に巻き込まれる人も出ています。
海外留学に引き続いて海外での仕事を続け、現在は国際政治アナリストという著者が、世界各国の危険度を詳細に語っています。
ただし、本書は2014年の出版ですのでそれからさらに状況が変わっているところもあるかもしれません。まあ、良くなっているということはほとんど無いでしょうから、悪化の度合を慎重に見なければならないでしょう。
本書は海外へ社員を派遣するような企業と、実際に赴く社員向けに書かれているようです。
どんな危険があっても脳天気に観光旅行をするような連中はあまり意識されていません。
危険であっても仕方なく仕事をせざるを得ない人たちが無事に帰国できるようにと言う意図が見えます。
本書前半は、海外への人員派遣をする企業に対し、セキュリティ対策の立て方ということから説明されています。
英米などの企業では自らが十分に安全対策をしなければ社員の命を守れないという意識が強いのに対し、日本ではそこまで真剣に考えている企業は少ないようです。
ブリティッシュ・ペトロリアム社は石油開発プラントを世界各地に置いていますが、その一つ一つにセキュリティの専門家を配置し、社員の安全対策を行っているそうです。
日本企業では現地の警備会社を雇って警備させるといった対応がせいぜいで、社員に対する安全教育というものもおざなりになっているようです。
本書後半は世界各国のそれぞれの危険状況を詳述しています。
最初に評点が示されていて、全般的脅威度、軽犯罪(スリ・窃盗)リスク、凶悪犯罪(殺人・誘拐)リスク、暴動・政治リスク、テロ・リスクのそれぞれが0-5で示されていますが、最悪の5の多いこと。
シリアなどは全部5です。
危険な国と言っても、スリや置き引きの多いというまだ程度の軽いところから、あちこちで爆弾が爆発し、人が歩いていれば強盗殺人、レイプが頻発といったひどいところまで様々です。
テロ組織が堂々と活動している国もありますし、犯罪集団、特に麻薬関係の危険性が高いところでは誘拐も頻発というところも多いようです。
いずれの国も政府がほとんど機能しておらず、警察も腐敗していたりと状況が悪いところがほとんどです。
この本に収録されている危険な国々も、観光客目当ての宣伝をしているところが多いようです。そんな宣伝に乗せられて出かける観光客も多いのでしょう。危ない話です。