平成8年に文化庁によって、「歴史の道百選」の第一次選定が行われ、78箇所が選ばれました。
本書はその78にそれ以外の9箇所を加えた87箇所の古道を写真家の森田さんが撮影した写真で紹介しています。
取り上げられている道は、東海道や中山道など有名な街道や、山辺の道や熊野参詣道といった古代からの道などもありますが、地方のあまり知られていない古道も含まれています。
広瀬・清水街道や野根山街道と言ってどのにあるのか判るという人は相当な地理マニアでしょう。
江戸時代以前の街道は、通行するのは徒歩の旅行者かせいぜい馬による運送者だけであったために、山越えの道などは勾配もあまり配慮していない急なものだったようです。
本書の写真は石畳が維持されているところもありますが、多くは荒れ放題になり道とは思えないほど雑草に埋もれたところもあります。
なお、各街道の写真はせいぜい1枚で、どういう場所を選ばれたのかよく分かりませんが、山林の中の消えかかってしまいケモノ道と見分けがつかなくなったような場所が続くと、どれがどれやら分からないと言うのはちょっと興ざめです。
現在は車などは入れない状態であるというのが選考基準のようで、さすがに行ったことがあるというところはありませんでした。
近くまでは行ったというところまで緩めれば、東海道箱根旧街道、薩摩街道、豊後街道などはどの辺かということは分かりました。
往時は人や荷駄が行き交ったとは思えないようなところですが、それを想像するだけでも楽しいかもしれません。