著者の副島さんは政治経済分野に関する評論活動をされている方で、ネットでも活躍されているようです。
上記の学問道場の最新情報によれば、今回の安倍首相訪米の手土産は、日本の年金資金の51兆円をアメリカインフラ整備に投資とか。
そりゃゴルフぐらいは付き合うよね。それだけ出されたら。
さて、この本はそんな副島さんが2006年に出版されたものです。
リーマンショックより以前のものでありながら、その予測もされているようです。
ただし、他の部分での予測はまだ到来していないものも多いようです。
これが、「この本の予測は間違っていた」と見る人もいるでしょうが、私の考えでは「まだ来ていないだけ」と思います。
非常に悲観的な未来予測ですが、いずれはそうなっていくという予感を持たされるものです。
「戦争経済」(ウォー・エコノミー)とは世界経済というものが戦争なしには成り立っていかないという考えです。
アメリカの場合、10年に1度の戦争をしなければ国家の維持運営ができないというものです。
戦争をすることで国の経済に刺激を与え景気を持続させるものです。
また、これは日本の場合では「戦時経済」という面を強く出し、戦争により景気を上げるというよりは、戦争の恐怖で国民意識を縛り付ける統制経済という形を取ります。
現在の日本は75年前、日中戦争から太平洋戦争へと進んでいった時代と同じ様相を呈しているとしています。
中国や韓国を毛嫌いし、彼らが日本との戦争を目指すかのような印象を与えて国民を煽ることにより統制経済に突入しようとしています。
ATMでの引き出し制限も強まる一方です。金融自由化どころか金融統制が激しくなり、もし預金封鎖をされれば何の手出しもできなくなります。
本人確認の強化も犯罪対策と言いながら、実は統制強化に他なりません。
戦争が経済を支えるということは歴史上も明らかです。
しかし、自分の国が戦場になってしまえば成長どころではありません。
アメリカの属国としてやっていく上ではアメリカが戦争をしたがるのに従っておこぼれを頂戴すれば良いのですが、それはよその戦争でなければ困ります。
日本以外でやってくれれば大歓迎というのが日本の親米保守派や財界人の腹の中です。
軍需産業は戦争が起きれば在庫一掃、さらに大きな受注を得ることができます。
本書の株価予測が的確であるのは、2006年時点までの推移でネットバブル、バブル崩壊を繰り返し2003年にニューヨークダウが7524ドルまで下げた後、イラク戦争を仕掛けることにより2006年までそれなりの経済状態を保ったこと。そして、その息切れが来るのが2007年であろうと予測していることです。
さらに、アメリカの不動産事情が低金利政策の影響で住宅バブルと化していることも指摘し、直後のサブプライムローン崩壊を予言しています。
なお、石油価格についてはさらに上昇を予測しており、この点については現状と差があるようですが、これはアメリカの強い価格下落への意思があるものと思いますので、本書が予測を外しているとは言えないものと考えます。
さらに、軍備増強と日本の関与についても、集団的自衛権を口実にしての強化ということが、この時点で予告され、まさにその通りに進みました。
この先、自衛隊員の死亡が重なった時、「自衛隊員の死亡保険金」をどうするかという議論も政府内でされているという指摘もあり、緊迫感が強まります。
その上に、消費税の引き上げを行ない国民からの収奪を強化することで、自民党政権を一度つぶし、その後アメリカに自民党以上に操られる民主党政権によりアメリカべったりの政治になるだろうと予測されています。
ここまで行くと予言者かというほどの読みに驚きます。
ここから先は国債などは紙切れ同然、銀行預金も無くなるという非常事態も考えられます。
これからは実物経済、特に金地金に替えておくのが一番ということです。
この本に書かれているような事態が近い将来やって来ないとは言えないように思います。
戦争経済(ウォー・エコノミー)に突入する日本―見せかけの「景気回復」の陰で国が企んでいること (Econo‐Globalists (9))
- 作者: 副島隆彦
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
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