爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「天ぷらにソースをかけますか? ニッポン食文化の境界線」野瀬泰申著

もう10年以上前になりますが、当時の日経新聞が解説していたインターネットHPの「NIKKEI NET」の中で、「食べ物 新日本奇行」というコーナーがあり私も愛読しておりました。(その頃は会社のコンピュータで見ていましたので、勤務中に)

 

この本はそのコーナーの内容を抜粋したもののようです。

 

日本各地では色々な食文化がありますが、それがどのように分布しているかということは意外にきちんと精査されていないようです。例えば本書書名にもなっている「天ぷらにソースをかける」という行為が、存在するということは知識として知ってはいても、どの地方まで広がっているかということはあまり分からないことでした。

 

それを日経新聞の野瀬さんが中心となって、ネット上で読者からのメールを集めて集計し、そのような食習慣の分布を調査しようという壮大な(?)プロジェクトでした。

 

私も生まれから育ちから、大人になってからの転勤から、全国各地に住んだという経験でしたので、こういった内容には非常に興味を持ちました。

 

なお、「食べ物新日本奇行」のバックナンバーは今でも日経HPから閲覧可能のようですので全体像はそちらで参照できるかと思います。

 

本書ではその中から、「ソースで天ぷら」「”ばら”か”ちらし”か」「中華まんを考える」「メロンパンとサンライズ」「冷やし中華にマヨネーズ」「カレーライスと生卵」などのテーマを1題1章にまとめられています。

 

ざっと見た感じでは、「関西の食文化は独特」「それがどこまで広がっているか」というようにまとめられるように思います。

 

そして、ここで取り上げられたもので自分の食習慣を考えるとほとんどが東日本系であることが分かります。

天ぷらにソースはかけない。紅しょうが天ぷらは知らない。なめこの味噌汁好き。

お汁粉とぜんざいとは違う。(食べないけど)

豚まんとは呼ばず肉まんと呼ぶ。などです。

ただし、カレーライスに生卵をのせるかどうかという点では関西風で生卵好きでした。

 

なお、最後の章は著者の野瀬さんが実際に東海道を歩いて(本当に歩いて)調査した内容で、サンマーメンはどこまで食べられているかというものを含んでいました。

サンマーメンは高校時代に神奈川県藤沢の中華料理屋で食べて以来の付き合いですが、最近はまったく出会いません。

一説によればサンマーメンは多摩川と相模川の間ということでしたが、野瀬さんの実地調査では品川から静岡県吉原まで見られたそうです。広がっているのかも。

 

まあこういった全国に広がっている食文化ばかりでなく、一地方独特というものも多く、特に九州や東北などはそういったものが見られると思いますので、この手法だけでは地方独自の食文化は捉えきれないものと思いますが、結構おもしろい話でした。