爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「日本経済”混沌”からの出発」中谷巌著

著者最新刊の「資本主義はなぜ自壊したのか」を読んで感銘を受けたので、同じ著者の他の本も読んでみようと選んだのがこの本ですが、読んでいてどうもおかしいと感じ、本当に同著者かと経歴を見直してみたりしましたが、同じでした。
前に読んだ本では、現在の国際金融資本主義の欠陥を鋭く指摘し、それが何故なのかと言う点についても明快な解説を施されており、目から鱗が落ちると言う状態そのものだったのですが、この本は「規制緩和を進めて国際競争力をつけ、グローバル経済競争に勝て」という極めてありきたりな主張をするばかりでした。

これに対する解答も前回の書評に自分で書いていました。http://d.hatena.ne.jp/sohujojo/20140310/1394399144
著者の中谷さんは現在こそグローバル経済のマイナス面に鋭く注目しているものの、以前は新自由主義というものを信奉しており、規制緩和と国際競争が正しいものと考えていたと、極めて正直に、率直に書いておられました。そういった姿勢にも共感を覚えたものでした。

そんなわけで、この本は1998年の出版でしたがその当時にはまだこの著者は昔の考え方のまま書いていたということなのでしょう。残念ながらその時代の著者の書かれた本はあまり読んでも仕方がないということが判ったということです。