爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

不安定化する世界

内乱やテロ事件といったものが中東を震源とするような形で広がっているように見えます。
テロ事件の起こるたびにアメリカや欧日などの政府首脳は「テロに屈せずテロとの闘いを続ける(または支援する)」と繰り返しており、実際に軍事行動は実行されています。しかし、どれだけ殺しても次から次へと参加者が増えていき終わりないように見えます。

原因をイスラム過激思想に求め、そこにすべてを押し付ければ判るかのように誘導するものもありますが、それは表面的なものであり実際は異なるでしょう。イスラム地域以外でも起こっていることです。
その要因は明らかに経済的なものです。仕事がなくなり特に若年層に失業者が増えているのはどこでも同じです。それで未来への希望を失った若者たちは過激派に走ります。
仕事を奪ったのは誰でしょうか。これはますます激化している金融資本主義とグローバル大企業による富の独占でしょう。博打のような投機によるごく一部の富裕者のますますの富裕化です。
それを政治的にも追認し、支援しているのが欧米日の政府です。中ロはもっと露骨に政府自らが実施しています。そのような行為のかたわらでいくら「テロとの闘い」といってもイタチゴッコです。

かつての資本主義、生産や商行為への資本の供給とそこからの配当という形(これも無害であったとは言えないのですが)からはもはや大きく変形してしまったのが現在の金融資本主義でしょう。どなたかが書き表していたように、これは「博打(バクチ)資本主義」と言うべきものです。子供銀行のおもちゃのお金でやってもらえるなら良いのですが、地道に稼ぐ金と同じものを使っているのでその弊害の莫大なことは言うまでもありません。商品の製造で1年に1億の利益を上げるのはかなりの大きさの企業でも大変なのですが、バクチでは個人でもあっという間に稼げる(損もできる)額でしかありません。

グローバル経済の下では労働はコストの安いところへと流れて行き、コスト高の先進国では仕事がなくなるばかりです。日本もそうですが欧米でも労働者賃金は下がり続けているようです。それでも仕事がどんどんと無くなります。日本でも正規社員は減り続けパートや契約社員ばかり増えていますが、アメリカでも同様のようです。数字の上では失業率は下がりますが、オコチャマ総理が自慢できるような就業改善ではありません。仕事は中国へ、そしてベトナムへ、ミャンマーへと安い労働力のあるところに流出していきます。

このような若年失業者が過激派参加の予備軍です。(日本ではその動きがほとんど見られないのも特徴的ですが。皆怒る元気もないほど疲れ果てているのか)イギリスやフランス、アメリカなどからイスラム国に参加するものが多いと言って驚いていますが、当然過ぎるほどの状況ではないでしょうか。

さて、「元から絶たなきゃダメ」と言いますがどこを絶つのでしょうか。現在の過激派集団を攻撃するだけでは終わらないのは目に見えています。