この本は2013年に読んでおり、読書記録も書いていますが以前はそれほど細かくは書いていないために大きなポイントだけを扱ったようなものになっています。
「危ない健康食品から身を守る本」植田武智著 - 爽風上々のブログ
ほんのイメージが大きく変わったということはなかったのですが、以前とは少し違ったところが気になりました。
折からアメリカの影響力というものが非常に強く意識されるようになってきました。
そのため、本書記述の中にも垣間見えるアメリカ関連の部分が印象深く残ります。
機能性食品表示に関して、アメリカの「ダイエタリーサプリメント」というものの関係も気になるところですが、本書にその経緯が書いてありました。
1994年にその制度が作られたのですが、コエンザイムQ10や生薬、ハーブ類などをすべて食品として販売するということを許可する制度ということです。その形状はカプセル・錠剤などの薬品状のもので、具体的な病名に触れなければ効能効果も表示できるというものでした。
そして、その制度をアメリカ政府は日本との市場開放協議の中で押し付けてきたわけです。
それまではカプセル・錠剤の形状のものを食品とは認めていなかったものを、1997年にビタミン類について食品販売を可能としました。さらに98年にはイチョウ葉、ノコギリヤシなども認められました。さらにコエンザイムQ10やα-リポ酸など医薬品成分とされていたものも食品扱いとできるようになりました。これらすべてがアメリカからの圧力と見なせるわけです。
そもそも、アメリカでもダイエタリーサプリメントのようなものを食品として販売することは厳しく制限されていました。サリドマイドなどの薬害があったために医薬品の規制は厳格でした。
そのためにほとんどのハーブ・生薬を使った医薬品がデータが少ないとして医薬品として販売できなくなりました。それに対してサプリメント業界が議員を抱き込んで総攻撃をかけ、(ユタ州選出ハッチ上院議員)FDAが消費者の「選択の自由」を奪うという論法でダイエタリーサプリメント販売自由を勝ち取ったという経過です。
しかし、その後のアメリカの状況を見ればその制度が大きな健康被害を与えることになったのは確かでしょう。
ここでもアメリカと言うものの大きな悪影響を感じることができるのがこの健康食品問題でした。