国立医薬品食品研究所の畝山智香子さんは、一般へ向けた情報発信も積極的に行なっており、色々と参考にさせていただいています。
今回は、「健康食品の安全性」について解説記事を書かれていました。
最初の部分の「食品が安全であるという意味」もよく考えるべきことです。
有害物質が含まれるもの、有害微生物が繁殖しているものも、食品の中には存在しますが、それらが危険であることは言うまでもありません。
しかし、そういう危険性が全く無いというものがあるのか。
これを「ゼロリスク」と言いますが、これも現実にはあり得ないものであり、どのような食品でも何らかのリスクは含まれています。
次の2項、「安全であることはどうやって証明するのか」も意外に知られていないことかもしれません。
ワクチンの開発にあたっては非常に厳しい安全性証明が求められるということは、今回のコロナワクチンでの例を見れば分かりますが、医薬品や化学品(添加物など)などの場合には人体に対する安全性の証明ということが重視され、その十分な証明をされなければ使うことができないという規則が存在します。
しかし、食品の場合はそのような規定はなく、「食経験があること」といったあいまいなもので済まされています。
この食経験というものも、明確に規定されているEUなどと比べ日本の場合はその基準がないということは、畝山さんが記されている通りです。
こういった状況を踏まえ、現在広く販売されている健康食品というものの安全性を考えると、大きな問題を含んでいることが判ります。
健康食品も食品として扱われるために「食経験がある」ということにされているのですが、実際には普通の食品では考えられないほど大量に濃縮されたカプセルや錠剤という形にされたにも関わらず「食品」であるとされているものが多いということです。
中には、「普通の食生活では摂れない量を含んでいる」ということを売り文句にするものすらあります。
このような健康食品は非常にリスクが高いものであり、世界中で健康食品摂取による健康被害が続出しています。
日本では普通に飲まれる緑茶も、濃縮したサプリメントにすると肝障害を起こすことがアメリカで発生しているそうです。
しかも、健康食品の場合売り上げを増やしたいのか「毎日食べることが必要です」などと宣伝していることもしばしば見かけます。
これは被害発生の危険性を増しているのかもしれません。
最後の部分では「健康食品は使用する前に、最も大切な安全性をどう確認しているのかを確かめてください。」と畝山さんは結んでいますが、本当はこんな危険なものを野放しにしてはいけないと言いたかったのでしょうが、立場上そう書けない辛さでしょうか。
安倍内閣の産業活性化を狙った機能性表示食品も、このような危険性が満載ではないかと思います。
消費者の健康を損なう危険性が強い「健康食品」などブラックジョークでしかないでしょう。