爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

FOOCOM.NETにて機能性表示食品について合田幸広氏にインタビュー

FOOCOM.NET最新の記事は松永和紀編集長が国立医薬品食品衛生研究所薬品部長の合田幸広さんに、機能性表示食品についてインタビューしたものです。

機能性表示食品、最大の課題は品質保証だ〜合田幸広・国立医薬品食品衛生研究所薬品部長インタビュー | FOOCOM.NET

 

機能性表示食品はこれまでのトクホよりも簡便に表示できるようにするというもので、すでに158製品が届出をしたそうです。

最近ではテレビCMでもエラそうに「機能性表示」とうたったものが目につくようになりました。

合田さんは医薬品についても長く経験を積まれ、さらにトクホの審査にも15年以上当たってこられ、今回の機能性表示食品の制度制定にあたってもその品質について鋭い意見を出されてきたということです。

 

インタビューの最初に、合田さんが機能性表示食品制度についてもっとも大きな問題点として挙げられているのが、「機能性関与成分の分析法が公開されていないこと」だということです。

誰もが分析して確認できなければ、まずその製品にその成分が本当に入っているかどうかも怪しいものです。これは科学的な品質管理の上では最低限の基準だと思いますが、それがなぜかこの制度の中ではないがしろにされました。

 

記事の中では細かい例まで取り上げられていますが、トクホでは植物由来の生薬でも栽培する畑まで同一でという条件まで付けられたそうですが、これまでの健康食品での例ではそれどころか植物自体が異なる種という例も見られるそうです。

サメのコンドロイチンと称している製品に哺乳類由来のコンドロイチン特有の成分が入っているとか。

 

また合田さんが良く取り上げているのは「崩壊性」という数字です。これは錠剤やカプセルとしたものが胃や腸で溶けて吸収できるかということを示す重要なものですが、こういったものが安定していない製品も多いとか。崩壊性が低ければ体内では吸収されずそのまま排泄されるということになります。まあそれなら副作用も出ないのは確かですが。

 

そのような物理的な数字もさることながら、天然成分は同じような物質でも少しだけ構造の違う同族物質というものが多数あるのですが、これらもきちんと分析していない(できない)例が多いようです。

事業者の中には食品だからそこまではやらなくても、という声もあるようですが、合田さんは「機能性を言うのなら当然そこまでやるべき」と明快です。

 

さらに「食経験」というものもほんの数年の発売実績だけで誤魔化そうとするものもありますが、当然ながら慢性毒性などはまったく分かりません。極めて危ないものでしょう。

 

こういった極めてあやふやで危険な制度を鳴り物入りでやるという政府の姿勢は大きな問題でしょう。

結局、経済活性化ができれば国民の健康などどうでもよいという姿勢のように見えます。

国立研究所の合田さんというプロから見ても非常におかしな制度ということなのでしょう。