演芸の脚本などを書かれている稲田さんが落語に見られる男女間の描写をあれこれ書いています。
古典落語では江戸時代の庶民の生活の描写が多いのですが、江戸では出稼ぎ者が多かったこともあり男女の人口数の差が大きかったことは知られています。また今のように恋愛が普通と言うことはなく、結婚もほとんどが家同士の関係で決まってしまうということもあり、男女の恋愛というのも実数はほとんどなかったようですが、落語には数多く取り上げられています。落語を楽しむ庶民にとってはそれも娯楽の一つだったのかも知れません。
宮戸川の半七お花というのも家から閉め出しを食った二人がちょうどの雷雨で雨宿りで結ばれ、というのも普通ではないような夢物語なのかも知れません。
吉原などの遊女を扱ったものでは、三枚起請や文違いなどちょっと誇張はされているでしょうが、いかにもありそうな話で笑いをとるということが多いようですが、こういったものも当時の雰囲気の中にあるのでしょうか。
現代の新作落語ではなかなか男女の仲を扱うのはむずかしくなってしまっているかも知れません。落語向きではなくなったのかも。SFの方がふさわしいか。