著者は韓国のジャーナリストということで、この本もコリアの歴史上の人物について新たな研究成果を記したというものではなく、ドラマなどで登場することもある人物について韓国の若い世代があまり知識もないまま見ている状態であるのを見かねて一通りの解説をしたもののようです。
そのため、歴史的な著述のあとに歴史ドラマでの配役などにも触れてあり、分かりやすい内容となっています。
この本は3分冊の中の第1冊で、古代から高麗時代までとなっています。檀君や朱蒙、広開土王など、日本でも馴染みのある人物が紹介されています。しかし、韓国の歴史ドラマはあまり史実を意識しすぎることなくかなり自由に創作されているようで、歴史の実像とは差があるものも多いそうです。
高麗の時代に入ってくると日本で言えば鎌倉時代まで含みますので相当細かい部分も伝わっているようです。あまり聞いたことも無い人物も出てきます。
崔茂宣(チェムソン)とか、李穡(イセク)などまったく初耳の人物もあり、興味深いものです。
しかし、コリアでは完全な王朝の交代が何度もあり歴史は次の王朝が記述しているので、前王朝の人物についての評価は極端に振れるようです。日本では政権交代はあっても天皇は一応連続しているためかそこまでの評価の移動はないようです。韓国で大統領が退任するとそのうちに在任中の汚職が暴かれたりして罪を問われることが多いのもその伝統かもと思ってしまいます。