爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「朝鮮属国史 中国が支配した2000年」宇山卓栄著

韓国朝鮮は日本と近いところにあり、人種的にも一番関係の深いところですが、その考え方や嗜好などはかなり違うものだということは、多くの人が感じていることでしょう。

 

それは一般的には中国の影響が強く儒教道徳に日本より深く染められているからだと言われていますが、この本の著者、宇山氏によれば朝鮮は2000年来中国の属国とされており、それが骨の髄まで染み渡っているためだということです。

そういった、朝鮮の人々の姿勢というものを、宇山氏は非常に嫌っているということが端々に感じられるような文章となっています。

 

 

伝説や神話はともかく、一応歴史として考えられている朝鮮のはじまりは、箕子朝鮮と言われています。

中国の史書史記」や「漢書」には箕子は殷の王族で殷が滅亡したときに朝鮮に逃れたと書かれています。

朝鮮ではかつては中国との同一性を誇りたいという思いから箕子伝説を積極的に宣伝していましたが、今では民族意識を高めたいという思いから公式にはこの伝説を否定しています。

しかし、考古学的に見れば紀元前11世紀頃のものと思われる中国様式の出土物が多く発見されていますので、そのような人々の移動があったのは事実でしょう。

 

その後、紀元前195年に現在の平城付近を中心として衛満が衛氏朝鮮を建国しました。

この衛満もやはり中国人であり秦漢の混乱の頃に朝鮮に逃れたものです。

 

その後、衛氏朝鮮前漢武帝により滅ぼされ、楽浪郡などの郡が置かれて漢の直接支配をされます。

しかしそれほど旨味のなかった朝鮮半島の郡は徐々に衰退し、その隙をついて朝鮮人の国が建てられました。

朝鮮半島北部の高句麗と、南部の新羅百済任那などの国々です。

しかし、著者は高句麗満州人、南部諸国が韓人の国だとしています。

現在では高句麗も韓国の範囲であり韓国国内の歴史であるとされていますが、その内容は異なるということです。

 

中国では長い混乱の末に統一王朝の隋が成立しますが、高句麗の討伐に失敗して結局は国を滅ぼしてしまいました。

それに代わった唐により高句麗は滅ぼされますが、その際に半島南部の新羅が唐と結び共同して高句麗に対します。

しかし、唐の本心は高句麗を滅ぼした後は朝鮮半島も領有するということにあり、新羅にも圧迫を加えますが、なんとか併合は避けられました。

ところがその実体は完全な属国化であったということです。

 

それ以来、中国の王朝は代わっていっても朝鮮の国は変わらずに属国であり続けました。

半島の支配者は中国の王朝に取り入ることで国の支配を安定化させるということになりました。

元が半島を攻め取り、その後は日本に攻め入ろうとして当時の高麗に強制して軍勢を出させ、艦船を作らせて元寇に従軍させたと言われていますが、これも高麗王から言い出して元王朝に侵攻を誘ったとか。

 

高麗から李氏朝鮮に代わってもやはり中国隷属は変わらず、多額の上納金などに加えて若い女性を貢ぐ貢女という制度も作ってしまいました。

民衆の中に美しい女性を見つけると強制的に中国に送ったとか。

 

豊臣秀吉が明国を攻める足がかりとして半島に攻め入った文禄慶長の役の際も、朝鮮はほとんど抵抗もできず、朝鮮王は民衆をすべて捨てて自身のみ中国へ逃げていきました。

明からの援軍だけを期待したのですが、ほんのわずかな兵しか派遣されず、膠着状態となり、朝鮮の民衆や李舜臣の水軍の抵抗だけが功を奏して日本軍撤退につながりました。

実は、戦争に際し指導者だけが逃げ去るというのは、朝鮮戦争でも繰り返されました。

ソウルにあった韓国政府の李承晩大統領は、北朝鮮軍が急襲してきた際に自身のみ釜山まで逃げ去ります。

その際ソウル市民がまだ残っているにも関わらす橋を爆破し北の軍の足止めを図ります。

 

中国で明が倒れそれに満州出身の清が代わるという時が、朝鮮の中国隷従を止めるチャンスだったのですが、それを活かすこともせず、変わりなく属国であり続けるということを選択しました。

それが朝鮮の政治のスタイルでありそれ以外に国を治める手段がなかったということです。

 

このように、韓国も北朝鮮も特殊な歴史で形作られた国であり、その思想や行動も歪められているということです。

それに心して相手しなければならないということです。

 

朝鮮属国史 中国が支配した2000年 (扶桑社新書)

朝鮮属国史 中国が支配した2000年 (扶桑社新書)

  • 作者:宇山 卓栄
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: 新書