1995年の阪神・淡路の大地震では多数の死者が出ましたが、その当時は阪神地方で地震が起こるとは思っていなかったという声が多かったようです。この本の著者は活断層研究会という研究者グループの方たちですが、それ以前から研究者には自明であった活断層の存在が一般には全く認識されていなかったということに改めて衝撃を受け、その一年後に本書を著されました。
その後も活断層の調査研究は進んでいるようですが、一般の認識は本当に上がっているのでしょうか。
現在は原子力発電所からみでの活断層調査のニュースが多く、本当に地震の巣という認識の方はあるのかどうかわかりません。
プレートテクニクスというものが一般的な認識となっていますが、これもそもそもは断層の調査から生まれてきたそうです。どちらからどういう風に押されてくるのか、何が圧力となっているのか、そういったところから調べていったのでしょうか。
活断層というものをどうやって見つけるかというところから、研究手法が紹介されています。航空写真で地形の特色を調べるところから始まるそうです。ボーリング調査や、この前の原発で話題になったトレンチ調査(大規模に溝を掘って地層を調べる)なども紹介されています。トレンチ調査といっても万能ではないようです。トレンチの場所の選定は大問題で、ちょっとずれただけで何の意味もなくなることがあるようです。
それでも活断層のちょうど真上にある建造物は、その断層による地震が起こった際は数メートル食い違うということがあるので、避けるべきだそうです。しかし、ちょっとずれているから大丈夫ということはなく、大きな揺れがあるのは同様でしょう。
つくづく、日本列島というのは危ないところだと痛感させられます。