爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「香乱記 下」宮城谷昌光著

秦漢戦争の頃の斉の王、田横の話も最終巻です。
項羽と劉邦の争いをよそに、斉の国をまとめてきた田横ですが、項羽を最終的に打ち破った劉邦が最後に斉を破ろうと軍を向けます。
抗戦することは国民に大きな負担を強いることとなるとして、酈食其の説得に応じ降伏しますが、それに関係なしに攻め寄せた漢の将軍韓信の軍に打ち破られ多くの臣下を殺され田横は逃れ最後は海の小島に入ります。

それに感じ入った劉邦は説得し田横を招きますが、近くまで来たところで田横は自殺してしまい、臣下500人もすべて自決します。

結局、「斉は他国を攻めない」という独立主義は貪欲に統一を求める劉邦に攻め取られるままになったわけです。どうすれば良かったのか、難しい話です。

宮城谷さんも田横が好きなのでしょうか。「劉邦は騙すだけ、項羽は殺すだけ」と登場人物に言わせています。しかし、現在毎日新聞で「劉邦」を連載していらっしゃいます。それはそれで、なかなか興味深いことです。