東洋哲学専攻で本書執筆当時は茨城大学助教授という二階堂さんの中国の民衆信仰の対象と言う神さまについての本です。
中国には神話がないなどと言う話もされることがありますが、日本では古代から今まで中国文化を受け入れたのは上辺ばかりで、孔子や四書五経などといったものは積極的に輸入したものの、民間信仰のようなものは全く受け入れることがありませんでした。そのため、一般には中国の民衆の信仰を集めている「神様」についてはほとんど知られていないのが実情だったようです。
部分的には、三国志や封神演義に記されている神様の名前が知られてきましたが、それについてもほとんど知識が無いままでした。
しかし、実際に中国や台湾に行ってみると様々な廟にお参りをする人々が多いのが分かります。
民間信仰の神々としては、関帝、二郎神、八仙など、道教系の神々としては、三清、玉皇大帝、仏教系の神々もいろいろあるようです。
なお、封神演義は多くの神を扱っていますが、この作者は意識的にそれまでの神の説話を大きく作り変えてしまっているようです。そのため、この話以降では相当な混乱が起こっており、神話が変質してしまったことも多いようです。
いろいろ、知らないことは多いものだと思います。