ゲーム理論とは、数学の新分野とも見られますが、経営学や社会工学など多くの分野との関係も深いものです。
その歴史も源流はかなり古くからあるとはいえ、一般的には1944年のフォン・ノイマンとモルゲンシュテルンによる「ゲームの理論と経済行動」の出版によりスタートしたと見られています。
この本は、プリンストン大学でモルゲンシュテルンに師事したデービスが1970年に出版したゲーム理論の一般向け解説を、1973年に翻訳し、ブルーバックス版として出版されたものです。
その内容は、ゲーム理論の構成を具体的な例をひいて説明しようとしているものですが、一般向けかどうかは難しいところです。
少なくとも、相当数学的な論理に慣れた人向けかと思います。
ゲームの種類によって、いろいろな形容詞が付きますが「完全情報・有限・二人・ゼロ和ゲーム」と言われてもなかなかイメージがつきにくいかもしれません。
完全情報とは、チェスや将棋などのように対戦者がすべての駒の状況を見ることができるもので、そうでないものと言えば、ポーカーやブリッジなどカードゲームが典型でしょう。
ゼロ和とは、勝つか負けるかが二人の間で同等であり、足せばゼロ。ゼロ和でないといえば「ウィン・ウィン」(ゲームの参加者が皆儲かる」といったものでしょう。
ゲームの有名な例では「囚人のジレンマ」といったものがあります。
二人の容疑者が取調べを別々に受けていて、片方が自白すれば相手に重い刑を負わせるが自分は釈放される。しかし両方共自白しなければ重罪にはならないものの軽い刑。両方共自白すればそこそこ重い刑。
このような条件で、囚人はどうすればよいかと言うものです。
他にも、競争相手の居る商売での行動や、政治的な政策実行の問題など、いろいろな方面への応用が考えられます。
確かに、こういった面は大きいのでしょうがしかし理想論で単純化されすぎており、これを本当に応用するのも危ないように思います。