福島原発事故のすぐ後の2011年7月に出版された岩波新書版で、石橋さんの編で14人の人達の書いたものをまとめたものです。
その後明らかになったということもあるでしょうが、まず状況はほとんど変わっていないものと言えるでしょう。しかし、原発をめぐる世論の風向きはまったく変わってしまったようです。
この本の内容では、最初に福島事故の状況の推定を原発技術者が詳しく述べています。これらはいまだに確定したとは言えませんが、一応の公式見解とはかなり異なるものが述べられていますが、これらは正式に否定されたわけでもないようです。特に、津波の来る前にすでに配管破損などが起こっており、電源喪失がなくてもメルトダウンにつながったはずというのは説得力があります。
原発そのものの問題点については、他の書籍などにも同じようなことが書かれており、この辺も確かな話なのでしょう。
しかし、原発をどうやって終わらせるかについては、省エネと自然エネルギーというのみで、不十分に感じます。文中に「20世紀の原発妄想」という表現がありますが、これが「21世紀の自然エネルギー妄想」とどれだけ異なるかという自問がまったく見られないというのが最大の弱点でしょう。
このような意見に対して国民多数の意識は「経済活性化」のためなら原発容認となってしまったというのが2年を過ぎた今の現状でしょうか。