今回の梶尾さんの著書は、男女の仲を取り持つという呪法を中心に、おそらく30歳前後の3人の独身女性と久し振りに熊本に戻ってきた高校の同窓の男性を描いたものです。
主人公の女性の病身の母親との葛藤、友人たちとの交流など、設定は日常ではありえない状況ですが、それが実際にあるという仮定を作り出しその中で彼女たちがどのように振舞うかということをきれいに描き出すことで不思議なリアリティーを作り出しているのが魅力です。
しかし、熊本市内中心部の地名がなんの注釈も無くぽんぽんと出てくることも熊本をよく知るものとしては新鮮で面白い感覚です。
東京も良く知ってはいますが、東京が舞台の話を聞いてもこういう感覚にはなりません。