動物行動学者で京都大学名誉教授であった日高先生のエッセイ集です。いろいろな動物や昆虫の各種の行動がどのような意味があるのか、本当に幅広く興味を示されているのには驚きます。
春になり、動き出した虫を捕らえて食べる鳥はだんだんと日が長くなることで春になることを感じているのに対し、虫は温度の上がり方で春を感じるそうです。したがって温暖化で温度の上がり方が早くなると虫は春になったと感じても鳥はまだ春ではないと思い、捕食のずれが出てきているとのことです。
他にもいろいろなエピソードがありますが、里山に対しての意見は非常に共感を覚えます。里山はあくまでも人間が介入して出来上がっているものであり、そのかかわり方の多寡で段階的に人里に近いところから離れたところまで状態が変わっているということです。
中には里山を守ろうとするばかりに人の出入りを禁止するなどという勘違いをしているところもあるそうです。それでかえって”荒廃”することもあるとか。