爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「常用漢字の事件簿」円満字二郎著

字典編集に携わってきた円満字さんが1979年以降の漢字をめぐる世相の数々を取り上げたものです。
1979年に常用漢字表というものを国語審議会が文部大臣に答申しました。これは戦後すぐに作られた当用漢字の見直しをしたものですが、それまでの社会の流れとまた異なる流れが出だした頃でもあります。
その後すぐにワープロが誕生し非常な勢いで浸透して来ました。それとともに、直接自分で書くわけではないので難しい漢字を使う風潮も出だし、一方手書きで書くことはできないと言うことになっています。
そんな頃に「ばらって漢字書ける?」といったコマーシャルも出ています。
1990年代には漢字検定なるものも流行りだし、今でもその傾向は続いているというだけでなく、入試や就職試験で検定を必要とされる場合もあるようです。
また、漢字の字体の統一化ということもコンピュータ処理の関係で避けられず、特に日本人の場合苗字の漢字はかなり異体字が存在したものが、むりやり標準字体に直させると言った例もあるようです。
この本の出版後、常用漢字表改定というものも出されていますが、どこまで標準化を規定する必要があるのか、難しい点かも知れません。