爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「原発事故はなぜくりかえすのか」高木仁三郎著

2000年に亡くなった原発廃止論の大きな支柱であった高木さんが死の寸前に書かれた遺書のような本です。
原発が産業化する始めから関わり、途中からその内容に疑問を持ち反原発の立場に立った著者が原発に関わる政治・産業の性格を実に正確に分析しています。

同時に読んだ本でコンプライアンスなどを扱ったものがありましたが、これらに出てきた実例を見て、高木さんの書かれた原発関連産業の状況を見ると同じ国の出来事かと不思議に感じます。

原発産業はその始まりから「議論なし、批判なし、思想なし」だそうです。科学技術の粋を集めたようでありながら、実は全く科学に値しない内容であったようですが、今は変わったのでしょうか。

13年前に亡くなった高木さんはもちろん福島第一原発の事故は見ていません。生きていらしたらなんと書いたでしょうか。あまりに早い死が残念でなりません。