爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「”法令遵守”が日本を滅ぼす」郷原信朗著

検事を経て現在は桐蔭横浜大学の郷原教授がコンプライアンスについて書かれた本です。
国広さんの本と同様の内容を扱っていますが、立場の違いからか少し趣の違ったものになっています。

こちらで扱われたものは企業不祥事というよりは法令違反の微妙な事例、公共工事談合やライブドア事件耐震強度偽装事件などが紹介されています。

まず、「日本は法治国家だろうか」と言う問い掛けから始まります。法律がすべてを決めると言うのが法治国家であるとするなら、全くそうではないと言うことです。
談合事件なども昔は公然の事実として行われていたものの、取り締まられたことはなく、かえって業者のスムーズな業務分担が可能となっていた。それが急激な社会変化により杓子定規の法律解釈が行われるようになり、談合蔓延というような印象につながったようです。

とにかく、日本では社会の変化に合わせて法律もどんどんと変えて行き、その代わりにその法律は厳然と守ると言うことが行われず、法律には触らずにそれ以外の方法(通達など)で対応されているので、官僚の権限も強まるようです。

社会環境の大きな変化が起こっているにもかかわらず、旧態依然の法律を絶対視し執行するのはどうもおかしなことばかりになるようですが、法律をきちんと整備すると言う方向に進まないのはなぜでしょうか。
議会が崩壊寸前であることも理由なのでしょう。