爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「古代中国と倭族」鳥越憲三郎著

倭人というと魏志倭人伝などの中国歴史書の記述により日本などに住んでいたと考えられるのが一般的ですが、古代中国の別の書物にはそれ以外に中国南部に住んでいた種族を倭人と呼んでいるものがあります。
これが偶然や間違いではなく、同じものであると考え、倭族というものでくくって考えたのが鳥越さんの学説です。
中国長江の古代文明黄河文明に劣るものではなく、さらに古い歴史があるものの、その後黄河文明が覆い隠してしまったため過小評価されてきましたが、最近の発掘でその真価が表れてきています。
その長江文明の担い手の一端が倭族であるかもということです。
黄河文明の畑作民により圧迫され、倭族は四川、雲南や越から朝鮮、日本へと追いやられ、その地でわずかに国を維持していきました。四川の古代蜀、巴もそれであろうということです。

非常に壮大な仮説ですが、いろいろと弱点もあるのかもしれません。しかし、中国北部に対し、南部から日本まで含めた大きな地域が一体として動いていたかもということは考えただけでもわくわくするような感じがあります。