ブログネタが無い時の内田先生頼りというわけではないのですが、またも面白いことが書かれていました。
中国で出版されている専門誌に「知日」という本があり、結構売れているとのこと。
そこが近刊で「明治維新特集」という記事を出すにあたり、日本の著名人にアンケートを依頼したそうですが、その一人に内田樹先生が選ばれたそうです。
内田さんも「歴史の専門家ではないが」との断り書き付きですが、念入りに回答されています。
黒船来航や日米和親条約などについて、また坂本龍馬や新選組についてなど、非常に詳しい内容となっていて、こういった話題に中国人読者がついていけるのかと驚きます。
内田さんの回答の中で素晴らしいのは、いろいろな人や事件に対しての一般大衆のイメージというものが、あくまでもそれを扱った文学作品の影響下にあるということを強調しているところでしょう。
坂本龍馬の好感度が上がったのは司馬遼太郎の「竜馬がゆく」からでした。
新選組も、かつては鞍馬天狗の敵役で悪役イメージだったものが、子母沢寛や司馬遼太郎の小説で反転しました。
まだまだ幕末明治にかけての小説は発表され続けています。
その影響で今後もイメージの変わる人や事件が出てくるかもしれないという、内田さんの指摘は面白いものです。
それとともに、反日という印象の強い中国でも知識人に限った話かもしれませんが、この本の読者のように日本の歴史の細部まで興味を持つ人が居るということも記憶しておくべきでしょう。