爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「図解でわかる スケール(音階)の知識」小林一夫著

スケール(音階)というと、ドレミファソラシドということと思われますが、実はそれ以外にも何種類も存在するものです。

 

ピアノの白鍵と黒鍵の配置をみれば分かるように、ドとレ、レとミの間は全音であり、ミとファの間は半音、ファソラシまでは全音ですが、シとドの間は半音となっています。

このような配置を取るのが教会旋法の中のアイオニアンスケールと言うもので、現代の西洋音楽はこれを基本としています。

しかし、教会旋法にもドリアン、フリジアンなど他のスケールもありますし、各地の民族音楽にはまた別の旋法が存在します。

 

この本はそのような多種多様のスケールを例示したものです。

ただし、ごく一部には例として曲の楽譜も添付されていますが、ほとんどはスケールだけのものとなっています。

 

興味深いのは民族音楽で用いられているスケールで、ヨーロッパ系でもスパニッシュスケールというのは別物で8音構成、哀愁ムードが漂うスペインのフラメンコなどの民族音楽はこのようにできているのかと納得させられます。

 

明治以降の近代邦楽と言われる音楽では俗に「ヨナ抜き」と言われる、スケールの4番と7番を抜いた音階が使われますが、これを5音使うということで「ペンタトニックスケール」と呼び、ヨナ抜きもこの一種です。

沖縄の琉球音楽もペンタトニックなのですが、抜かれる音階は第2音と第6音で、このスケールを弾いただけで沖縄風と感じられます。

 

近代以前の日本のスケールは、中国から伝わって使われた呂旋法、律旋法があり、雅楽のほとんどは律旋法によるそうです。

 

古代インドのスケールには、半音より細かい微分音(微分音程)というものを用いていたということで、非常に複雑になります。

5世紀頃の理論では1オクターブを22音に分割していたとか。

どのような音楽であったのか、興味があります。

 

巻末にはさらにピアノとギターの音階練習まで付いています。楽器を演奏する人には参考になるでしょう。

 

MS160 弾いて 覚えて 調べて 図解でわかる スケール(音階)の知識 (MUSIC NAVI)

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