昔から持っていた本でかなり古いものですが、その題名についてはこれまでまったく誤解していました。
「列女伝」をてっきり「烈女伝」だと思いこんでいたのです。
それでいて、中で描かれている女性たちは孝女あり、貞女ありだったのですが、おかしいとも思っていませんでした。
今回、ちょっと他の本でも見かけたことがあり調べなおしてみたら「列女伝」というものは元々は前漢の劉向の書いたもので、様々な女性の人生を描いたものということです。
この本も中国文学ご専門の村松さんの執筆ですので当然ながらそれを意識して書かれていたのでしょう。
ただし、この本の帯には「名だたる男尊女卑の国の、弱くも烈しい女の生き方」とありますので、混同してもしょうがない点もあるかと思います。
内容は、古代から近代まで様々な女性たちの人生です。
完全な男尊女卑、しかも家制度が絶対で父母には服従という社会ですから、そこで生きていく女性たちも酷い運命にさらされていたと言えるでしょう。
そういった中で道徳に身を捧げてしまう人もあり、逆らってしまう人もありですが、やはり今から見ると理不尽な道徳に従うというのは少し分かりにくいものです。
最終章は、そういった道徳はまったく無視の三女傑、漢の呂后、唐の則天武后、そして清の西太后が描かれています。
こちらの凄さはまた違った驚きです。
やはり中国という国は人間も桁外れの人がいるもんだと思います。