ルイス・キャロルといえば「不思議の国のアリス」で有名な19世紀イギリスの作家ですが、実は本名をチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンという数学者であるということはかなり知られていることだと思います。
この本はそのドジソンが本業(とくにユークリッド幾何学、線形代数学)に近い方で書かれた様々な文章を編訳者の柳瀬さんが組み合わせて一冊としたというものです。
もちろん、研究書をそのまま訳したわけではなく、少しは一般向けに書かれていたものなのでしょうが、論理学的な文章が多く編訳者も文学研究者ですのでその中身については苦労があったことでしょう。
論理の世界では対偶というものが重要ですが、それについて以下のような例を挙げて説明されています。
すべての禁酒主義者は砂糖を好む。いかなるナイチンゲールもワインを飲まない。
生き物全体を「宇宙」とする。m=禁酒主義者、x=砂糖を好む、y=ナイチンゲール
すべてのmはxである。いかなるyもm’でない。
従って、いかなるyもx’でない。
すなわち、いかなるナイチンゲールも砂糖を嫌わない。
まあ書いた方も大変だったでしょうが、読むほうも大変です。