爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「そんなバカな! 遺伝子と神について」竹内久美子著

動物行動学というものはできるだけ自然のままの動物の行動をじっと見つめて記録すると言う極めて地味な学問と言うイメージなのですが、その一方では非常に過激な理論を生み出します。
1976年にドーキンスが発表した「利己的な遺伝子」という本は大センセーションを引き起こしました。
本書は動物行動学者で著述家の竹内さんがドーキンスをはじめとするこの学会の研究者の理論を広く紹介していきながら、そういった「利己的遺伝子」というものの行動の証拠を出していくというもので、91年の出版時には相当な評判となったものです。

動物の行動と言うものはいろいろな特色を持っており、その興味から古くから学問として研究者の対象として取り上げられてきましたが、単に面白いと言うだけでなくそこに秘められた理論というものはドーキンス以前にもホーキンスやハミルトンなどの学者により徐々に明らかになってきましたが、すべては遺伝子というものがその複製を数多く作り出すために起きていると仮定すると上手く説明できると言うのが「利己的遺伝子」という考え方のようです。
これを仮定することにより、動物の行動だけでなく人間の様々な行動も説明がつくと言うことです。
これは、人間の感情や理性というものを信奉する人々からは大きな反発を買ってしまいましたが、どうやらその方が確かなようです。

嫁と姑はいつの時代でも常に仲が悪く、ともすれば嫁を離縁して子供を連れて里に帰らそうとするのも、そうやって別の嫁を貰いさらに子供を作らせることで自らの遺伝子の複製を数多く作らせると言うことなんだそうです。

まあ、そういった理論はあっても良いのですが、それを意識しなくても十分に生きていけそうです。