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爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

エネルギー文明論「化石エネルギー依存文明 (1) 現代文明はエネルギー依存」

エネルギー文明論

以前のこの欄で「石油がなくなったとしたら」という近未来の想定を書きましたが、それより一歩進めて「この化石エネルギーを使い放題の奇形文明の危うさ」というものを書いておきたいと思います。
 ほんの少し前、と言っても多くの人の記憶からは薄れつつあるような福島原発の事故のあとには「今後のエネルギーをどうするか」といった話題が少しは人々の関心を集めました。
その時の論調に「政府が責任を持って代替エネルギー開発をすべし」というものがかなり多くあったように見えました。
 これには非常に違和感を覚えました。どうせ政府のできることと言えば開発研究費として国庫支出を増やすことくらいしかできないのですが、それで今のようなエネルギー浪費文明を支えるだけの代替エネルギーを本当に開発できると思っているのか?
 どうもこれまでのエネルギー源としての石油があまりにも簡単に、安価に手に入れることができていたために、かなりの識者でもエネルギーというものがそのようなものだと言う間違った観念に染まりきってしまったのではないか。そしてそれに少しでも疑問を抱く人がほとんど居ないと言うのにも驚きました。

 それでは、この現代のエネルギー依存文明というものの形態の異常さ、危うさについていくらかでも述べていきましょう。

 現代文明の性格を言い表す方法はいくつもあるでしょう。たとえば科学技術文明、情報文明、グローバル文明、個人主義文明など、しかしもっともその本質に迫ったものは「化石エネルギー依存文明」ではないでしょうか。

 石油や石炭などの存在は産業革命以前から知られていたようですが、それを燃料として使い始めたのは17世紀イギリスからでしょう。産業革命ではいろいろの発明がなされましたが、その始まりと見なせるのが蒸気機関であるのは象徴的です。
 その後は科学理論の発達、技術の進展とあいまって化石エネルギーの使用という手段が大きく広がってしまいました。

 人類は動物の一種である以上は本来はエネルギーを特段使わずに生活してきた期間が長く続いたはずですが、「火の利用」ということを発見してからは他の野生動物とはまったくレベルの異なる生活を始めることになりました。
 他の猛獣も火をかざすことで追い払うことができるようになり、戦闘力では他の猛獣と比べて極めて劣る人類でも十分に生き延びることができるようになり、また生で食べることはできない食糧でも、焼く・煮るといった方法を取れば食べられるということを発見してしまいました。その結果、人口の爆発的増加が可能となりました。また何もしなければ凍死するしかないような地域にも火を炊くという加温法を使うことで進出してきました。
 人類が他の動物と違って人類として大きく成功できたのもエネルギー使用ができたからと言えますが、それにしても産業革命以降の発達にはそれまでとはまったく異次元のエネルギー使用が存在したという要素が欠かすことはできなかったと言えます。

 産業革命(これはここで述べている意味からいえば「エネルギー革命」とも呼べるものです)以前には風力水力も若干は利用されていましたが、ほとんどは薪炭の利用であったと考えられます。薪炭はせいぜい数十年の太陽エネルギーの貯蔵物とも言える木々などの植物を利用したものです。

 それがエネルギー革命の時代にまず石炭を使うことを始めました。これは樹木が土に埋もれて炭素だけが残ったもので、何万年分もの太陽エネルギーが数百万年を経て使用できるようになった貯蔵物と言うことができます。そういった意味で、これは石油や天然ガスとともに「化石エネルギー」と呼ばれています。

 その後の歴史的展開を見ると、石炭を使い果たしたからというわけではないのですが、20世紀を迎える頃から石油の使用が増えてきました。これは石油が液体であることで採掘が極めて容易であったこと、また内燃機関への適用が可能であったこと、さらに精製することでいろいろな成分を分離することができ、化学工業の原料としても使えたことが大きかったためと思われます。
 石油の起源については異論もあるようですが、主に考えられているのは数億年前に海中で炭化水素成分を作り出すような藻類が繁殖し、それが堆積してさらに地中に埋まり、炭化水素が高温高圧で濃縮されてできたと言うものです。そのために石油の出てくる地域と言うものが古代に浅い海域であったところであるというような地域性を持っています。
 石油というものも長い間の太陽エネルギーの集積によって作られたものと考えられます。