唖然とするようなニュースが流れました。
何と、「水素製造」のためと称して実験的原子炉を稼働させるというものです。
発電用に使われている軽水炉などの原発とは異なり、高温ガス炉と言われるタイプのもので、10年ぶりに運転するとか。
これで発生する高温のヘリウムガスの熱量を使い、水を分解して水素を作り出してやろうということのようです。
「水素」と言えば期待の星のような風潮にしようとする勢力が奮闘していますが、それにしてもこのひどさは群を抜いています。
東京新聞の記事ですが、「クリーンエネルギーのイメージの水素を隠れ蓑にして原子力温存を図っている」という批判の声もあると書かれています。
しかし、原発で熱を発生させるということ自体は問題であっても、「水を分解して水素を作る」ということには期待を寄せる人も居るかもしれません。
こういったエネルギー物質は、トータルで考えてエネルギー自体の損得を考慮する必要があり、「燃焼時には二酸化炭素を出さない」などと言うどうでもいい性質はこの際考えるべきではありません。
水素は持ち運びができ、エンジンでも使えるという利点はあるものの、その製造に費やすエネルギー量はそれ自体のエネルギーをはるかに上回るものであり、結局は「エネルギーの浪費」になります。
現状で「エネルギーの浪費」という場合は、実質的には化石燃料を浪費しているということであり、その場では二酸化炭素発生が無いかのように装っても多くの発生量が隠れています。
それくらいなら、石油のある間は大切に使った方がまだマシだと思うのですが。