「呉漢」という名前にはまったく覚えがなかったのですが、どうやら漢時代の人のようです。
これまで、中国古代については史書も小説も色々と読んできました。
若い頃から、三国志、史記、春秋左氏伝といった本を読むのが好きでした。
春秋左氏伝は孔子が編纂したと伝えられる春秋をその後左丘明が解説したと言われています。
つまり、前漢中期から後漢末期まではすっぽりと抜けていたのでした。
少し前に、同じく宮城谷さんの著書で後漢創業の光武帝(劉秀)を描いた著書を読んだのがその時期の唯一ともいえる読書体験だと言えます。
実は今回の本の主役、呉漢も前漢末に王莽によって簒奪された王権が光武帝となる劉秀によって取り戻されるにあたり、劉秀を助けた功臣の中でも貢献度が高かったという人物だということです。
この上巻では、地方の小貴族として産まれた呉漢が持ち前の能力を活かして徐々に認められ、王莽の政権が潰れた後の混乱期に勢力を伸ばし始めた劉秀に従い功績をあげていくというところを描いています。
予備知識が全く無い時代のことで、どこまでが史実でどこからが宮城谷さんの創作かも分かりませんが、まあ読み物として楽しめるものではないかと思います。