スガ首相は諸外国がガソリン車の廃止を早期に実施する構えを見せているのに焦ったか、「2030年代半ばには電気自動車100%」などと言いだしているそうです。
それがどのような社会変革を必要とするのか、多くの人の職を奪い彼らの転職を考えなければならないということすら、まともには考えていないことは明らかです。
まあ、電池の供給だけを考えてもそのようなことは全く不可能ということはすぐに分かるので、おそらく「どうせ無理だけど言うだけは言っておこう」程度の考えなのでしょうが。
この問題について、「ベストカーweb」というところで山崎颯太という方が書いていることがなかなか具体的な例を挙げています。
ホンダが電気自動車を今年から発売したそうですが「リチウムイオンバッテリーの生産に制約があって初年度は1000台の生産にとどまった」そうです。
そんな状態からわずか15年で数千万台もある自動車をすべて電気自動車化するなど夢物語と思いますが。
この中で面白い指摘が、「現在電気自動車を保有しているのはほとんどが戸建て住宅居住者である」ということです。
というのが、マンションなど集合住宅では現状の制度では充電設備を設けるのが困難だということです。
これは、駐車場という共用部分にそういった設備を設けるためには管理組合で理事全員の同意を得なければならないのに、それが通ることは少ないからとか。
こういったところにも制度自体の変更が必要になってきます。
その他、ちょっと考えただけでも「100%電気自動車」にしようとするためには、多くの社会の変化、制度の変更などが山積みです。
例えば、そうなっていくと石油関係の業種はどんどんと縮小することになります。
石油元売り各社から、末端のガソリンスタンド従業員まで、しばらくはガソリン車も残っていますがどんどんと切り替わっていきやがて全部消えてしまうことになります。(上手く行けばですが)
そういった人々は充電池製造会社に転職すれば良いとでも言うのでしょうか。
100%電気自動車となった場合、本当に全車が同時に充電を始めた場合に電力供給もできるのでしょうか。
現在のような充電環境であれば、やはり自動車使用の少ない夜間に充電需要が集中するでしょうが、その時間帯では頼りの?太陽光発電はできません。
その充電に結局火力発電の電気を使うというのでは、笑い話にもなりません。
ほんの数か月先くらいまでしか見通せない人が多いのでしょう。
「2030年代半ば」などもうはるかかなたの将来のように思って、こういうことを言い出したのかもしれませんが、実際にはあと15年などと言う時間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。
もしも本気でやりたいのであれば、もう明日からこういった社会改革に取り組まなければとても間に合わないはずですが、やはり真剣にやろうなどとは考えていないのでしょうか。