ユネスコが登録する世界遺産の中でも、「世界文化遺産」と言われるものは人類の歴史を今に伝えているものです。
そのような世界遺産は観光で見に行くという人も多いのでしょうが、その奥にある歴史を知ると知らないとでは、見る価値も大きく違うでしょう。
ただし、そうは言っても普通に学校で歴史を習いましたという程度では、とてもほとんどの世界遺産の意味も分からないはずです。
そういった人たちのために、128の世界遺産についてその解説と地図、写真を掲載してしまおうという欲張りな企画の本です。
まあ1か所にはせいぜい2ページまでしか当てられないため、それほど多くのことが書かれているわけではありませんが。
もしも特に気に入ったところがあったら、別の詳しい解説書を見てくださいというものでしょうか。
最初のページは、「人類の誕生」
紹介されている世界遺産は、「アルタミラ」と「ラスコー」です。
解説記事はアフリカから世界各地への新人の拡散の地図です。
日本へは南西諸島経由が2万年前、朝鮮半島からは3000年前となっていますが、どうでしょうか。異論はあるかもしれません。
ギリシャローマについては項目も多く、記述も詳細です。
それだけ多くの世界遺産が実際に残っているのでしょう。
「ファロ・ロマーノ」(ローマ帝国の政治経済の中心地)などは細かい建物の配置図まで描かれています。
ヨーロッパはそれから後の時代でも多くの世界遺産が登録されていますので、どれを載せるか迷ったのではないでしょうか。
歴史としては書物にはなっているところが多いのですが、その遺産が現地で目にすることができるというのは、やはり貴重なことでしょう。
「カノッサの屈辱」という事件が起きたのは1077年ですが、もちろんその当時の建物が今でも残っているわけではないのですが、教皇と神聖ローマ帝国の皇帝ハインリヒ4世の対立が激化したために教皇側の大司教ゲープハルトが同じ年に建築を始めたドイツのホーエンザルツブルグ城が世界遺産となっているということで、その写真が掲載されています。
それだけ深い歴史を背負っているということでしょうか。
観光旅行といえど、ガイドの案内するままボーッと見るだけではもったいないということでしょう。