7payの幼稚な安全対策が開始早々に破綻した件につき、経済学者の宿輪純一さんが、現代ismediaというサイトで解説を掲載していました。
gendai.ismedia.jp7payのセキュリティーシステムが考えられないほど甘かったということは、多くの人々が指摘していますが、その裏にはキャッシュレス化を進める日本政府の事情もあるようです。
記事の最初は、7payのあまりにもお粗末なシステム(2段階認証がない、生年月日とメールアドレスなどを入力するだけでパスワード変更が可能)の解説から入っていますが、先日起きた「ペイペイ」の事件も同様のお粗末さで、暗証が3桁、それを何度間違えてもブロックされないというものだったそうです。
この根底には、こういった「なんとかペイ」というものが、実は「金融」ではなく商品やサービスと言ったものを扱うビジネスの範疇だということがあります。
そして、そこには官庁の監督権限の問題がありました。(やはり)
政府が推し進めようとしているキャッシュレス化には、次の項目があります。
キャッシュレス戦略の対象は、電子マネー(前払=金融庁所管)、デビットカード(即時払=金融庁所管)、クレジットカード(後払=経済産業省所管)である。
デビットカードというのは今では規模も極めて少なく、電子マネーも特に交通系には一回2万円までという制限がありこれ以上の進展が望めないものです。
とすれば、政府の狙いはやはりクレジットカードの拡大にあり、それは経産省の所管分野の拡大にあるようです。
クレジットカード拡大といっても、そこでの媒体はスマホということになるのでしょうが、スマホはすでにネットとカメラ機能が進んでおり、それと連携した操作になります。
ところが、これまでのように銀行などの金融業界がITを取り込んでいくのと異なり、IT業界が金融に進出してくるということになりました。
金融の基礎として「善と悪との判断」と「顧客の保護」があります。(すべての金融マンが履行しているとは言いませんが)
しかし、どうやらIT業界というのはその辺の認識に相当甘さがあるようです。
中国ではキャッシュレス化が相当進んでいるとか、アジア・アフリカでも進んでいると、「日本だけが」という論調がありますが、これはそういった国々の金融の状態が極めて悪く、銀行すらほとんど無いからだとも言えます。
全国民が銀行口座を持ち、ほとんど銀行決済で済ませられるものをなぜQRコードの読み取りなどというものに変えなければならないのか。
(宿輪さんは、これはごく短時間とは言え余計に時間がかかると言っています)
これで喜ぶのは観光客だけではないか。
どうやら、極めておかしな方向に進んでいるようです。