爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ふしぎな県境 歩ける、またげる、愉しめる」西村まさゆき著

県と県との境、県境というものは、多くは山の尾根や川にあるのですが、時には町中にあったり、飛び地があったりというところもあります。

そういった、ちょっと変わった県境を見るのが趣味という西村さんが、全国各地の変わった県境を訪ねて紹介してくれます。

なお、西村さんは自動車の免許を持っていないということで、こういった旅は大変だったようです。

(「県境」は「県」と「県」との境ということですが、この本では都道府県の境すべてを含むこととしています)

 

「見た目で県境がわかるところはないか」

多くの県境は山の上や川の中であるために、あまり「見てすぐわかる」県境というものはないのですが、それが東京練馬区と埼玉県新座市の間にあります。

大泉学園駅からバスに乗り、天沼マーケット前というバス停を降りるとそこに「県境」がありました。

道路の歩道の作りが明らかに異なり、東京側はブロック組みの歩道に対して埼玉側はアスファルト舗装に点字ブロック

また、車道のアスファルト舗装の質も東京と埼玉ではっきりと違いが分かるそうです。

 

奈良県奈良市京都府木津川市の県境には、そこをまたいでイオンモール高の原というショッピングモールがあるそうです。

店内の県境の位置に茶色いタイルでラインが引いてあるとか。

なお、建物の8割が京都府ですが、法人税や固定資産税は敷地面積の比に応じて按分しているそうです。

 

福島県新潟県山形県の三県の境は飯豊山山頂付近なのですが、福島県の領域が飯豊山の稜線をたどって、幅数mで延びています。

いわば「盲腸県境」となっているそうです。

飯豊山山岳信仰の神聖な山ということで昔から開けていたことに加え、福島県明治維新後に県の領域があれこれ変わったということもあり、このような変形の県境になったとか。

 

埼玉、栃木、群馬の三県境地点というところが、観光客を集めるほどになっているそうです。

地主さんが看板と案内札も立てたとか。

ここも含め、かつては境の川の流れに沿って県境を決めていたのが、その後に川の流路が変化したために不自然な県境ラインができたり飛び地ができたりと言ったことになったようです。

 

最初に書いたように、著者の西村さんは運転ができないので車が必要な時は知人に頼んで運転してもらったそうですが、飯豊山登山の際は登山経験がほとんどないにも関わらず、ガイドを雇ってまで山頂を見に行ったそうで、生命の危険をかんじたそうです。

エラいというか、物好きにも程があるというか、大したものです。