爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

FIT(再生エネルギー固定価格買取制度)破綻間近

昨日になりますが、NHKの朝の番組でFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度、ちっとも再生はしませんが)がかなり問題となってきたということが報じられていました。

www.nhk.or.jpこの記事はすぐにネット上から消えてしまうでしょうから、長めに引用しておきますが、電力料金に含まれる賦課金(すべての電力使用者にかかる金額)がさらに増加し、一方発電業者に入る電力買取価格が下落しているということです。

 

引用:

高瀬
再生可能エネルギーの普及に向けて設けられたのが、『固定価格買取制度』です。
来月7月1日で、導入からちょうど5年になります。
これは、電力会社に太陽光発電などによる電気を買い取ることを義務づけたものなんです。
電力会社は、その買い取らなければならない電気の価格の一部を、月々の電気料金に上乗せしていまして、それを、私たち利用者が負担しているんです。
先ほどもご覧頂きましたように、標準的な家庭で700円。
先月からは100円値上がりしました。
その負担、年間で8,000円を超えています。

そして、こちらは負担金の総額の推移です。
太陽光発電の拡大に伴いまして、年々、私たちの負担は増え続け、今年度は2兆円を超える見込みです。」

 

当初、電力会社は、発電された電気を単位あたり40円で買い取っていました。
それが、今後建設される太陽光発電所では、21円にまで引き下げられたのです。
買い取り価格が半額近くになったことで、発電所の新たな建設が難しくなったといいます。

例えば、この京都の候補地。
小高い丘にある土地が安い値段で売りに出されていました。

「2メガくらい(パネルが)置けるから、土地代は安いけど。」

電気の買い取り価格が40円の当時は、平らに造成することも検討できましたが、今では採算が合わないといいます。
さらに別の課題もあります。

(引用終わり)

 

 

つまり、太陽光発電などの電力を割高に買い取るために電力利用者全員に賦課する金額が上昇を続け、すでに平均家庭で1月700円以上になっている一方、発電業者からの買取価格は当初は40円/kwhであったものが今後の建設予定の発電所では21円まで下落するので今後は建設が難しくなっているということです。

 

これまでも触れてきましたが、このFITという制度は、電力使用者すべてから金を集めるということで、この中には当然ながら生活保護世帯もあり、また非正規雇用者の低所得者もあるはずです。

こういった困窮者からも強制的に集めた金を、発電事業者につぎ込むという、非常に倫理的にも問題な制度です。

 

さらに、今後の建設予定発電所からの買取価格が半減するとコストが合わずに建設できないということは、その最初の前提であった「発電効率が徐々に上昇し、発電コストも低下していく」という思惑がまったく外れているということを表しています。

 

つまり、最初は発電効率が低くても量産している内にどんどんと上がっていって低コストで発電できるようになるという、理想論は作動していないということです。

 

このように、電力使用者側から見ても、発電業者側から見ても、もはやこの詐欺的制度は破綻寸前に追い込まれているということです。

こういったことは、始まる前からすでにヨーロッパの状況を見れば分かっていたはずです。

それをなぜやったのか。発電事業者として参入してきた連中の政権へのゴリ押しがあったのではないですか。記録は残していないでしょうが。

 

これ以上傷を広げないためにも早くあきらめるべきでしょう。