爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

まだ消え去らないサマータイム制の亡霊

私が目を覚ます時間はたいていは朝4時から5時の間です。

ちょうど夏至も間近の一番日の出の早くなる時期とは言え、九州の西端ではまだまだ明るくなる時間は遅く、4時ではまだ真っ暗。

ようやく5時過ぎになって明るくなってきます。

 

最近はほとんど聞かなくなりましたが、「日本でもサマータイム制度を導入を」と言った声が多かったのは10年ほど前のことでした。

サマータイム制と言っても実感がない人が多いのでしょうが、たとえばこれまでの朝5時といっていた時間を翌日から6時にしてしまうということです。

まったく乱暴な話なのですが、先進国の多くが実施しているとかでやりたがっていた人間が多く居ました。

 

当時に環境庁が作ったらしい解説がありますので、その最初の部分だけでも見てもらえれば概要は分かるかと思います。

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/summertime/attach/pamph.pdf

 

なおこの文書の後半の、サマータイム制のメリットだとか効果だとかいった部分は大嘘ですので読む価値はありません。

 

確かに、北海道では夏至のあたりでは日の出の時間は4時前。普通の人が起きる時間は6時とすれば日の出から2時間は明るい時間を無駄にしていると思えば、1時間でも早くしようというのもわからないでもありません。

 

しかし、日本は東西にも南北にも長い。最初に書いたとおり、九州では夏至でも日の出は5時過ぎ。これを6時にされたら困る人も出てきます。

 

特に、農家の人たち。

こちらの農家は特に真夏などはあまりの猛暑に農作業は朝の早い時間に済ませてしまうことも多いようです。

ちょうど10年近く前に会社で一緒に働いている人が兼業農家の息子でした。

彼は朝4時前(こちらではまだ明るくなる前)から農作業を行ない、6時頃に上がってシャワーを浴び朝食を食べてから会社に出てきていました。

これを1時間早くされたら、農作業は不可能です。

 

 

また、サマータイム制度では朝の電力消費を抑えられるので省エネにつながるなどという根拠不明の説を流して導入を進めようという連中も見られました。

 

それもどうやらかなり怪しい話だったようで、それを分析された人が居ます。

 

https://www.time-j.net/uc/dst/

 

これによると、朝の照明用の電力は確かに減るにしても、夕方家に帰ってからまだ暑い時期では、家庭での冷房稼働が増加し、電力の総量としては決して減ることは無いということのようです。

 

なお、先ほどの環境庁の方の資料では、夕方の帰宅時が明るくなるので交通事故の危険も減るなどということも利点にあげていましたが、通学時の方はどうなるのでしょうか。

正に、何も考えていない議論そのものです。

 

この点では、さらに危険な問題点があります。

実はサマータイム制度を導入している国々では夏季時間は「半年間」です。

つまり、だいたい4月にサマータイムに移行し、10月に戻すということです。

 

4月始めなどでは、九州の日の出時間はまだ遅く、熊本市で4月1日で6時4分です。

これがサマータイムで1時間早められたら7時4分。すでに遠くの学校に通う小学生が登校を始める時間です。それが日の出直後の眩しい時間にされたら、交通事故もかえって増加する危険性大でしょう。

 

 

こういった危険性や矛盾点が薄々とでも広まったのでしょうか。

幸いなことに、サマータイム導入と言った馬鹿話も立ち消えになったかと思いきや。

東日本大震災後の電力不足対応とやらでまた息を吹き返しかけたようです。

 

再度強調しますが、エネルギー節約などといった効果は期待できません。逆に増える可能性もあります。

さらに、さまざまな社会への負荷も増加します。

これは特に西日本で顕著です。

こういった問題点があるにも関わらず、特に九州や沖縄の議員が積極的に否定しないのが不思議です。

まあ、元々頭を使わない人たちですから、何も気がついていないのでしょうが。