沖縄の考古学的考証について、考古学者で浦添市教育委員会の安里氏と古人骨研究者の琉球大学の土肥氏が対談の形で沖縄史を語り合っています。
1999年発行ですので、まだ旧石器遺跡捏造事件も明るみになっておらず、また埴原氏の日本人二重構造論も出てきてすぐだった時代ですが、沖縄の考古学にはそれほど大きな影響は無かったのかもしれません。
沖縄では約18000年前の人骨が発見されており、港川人と呼ばれていますが、そこと同じ場所からは石器などが発見されていないため、どのような生活をしていたのかが不明だそうです。
それから1万年以上たった6000年前頃から貝塚とその中からの人骨が発見されており、貝塚人と呼ばれていますが、この貝塚人と港川人の関係は分かっていません。
直接の後継なのか、別の系統かも不明とのことです。
さらに10世紀頃になるといきなりのようにグスクと呼ばれる遺跡を多く作り出した「グスク時代」が始まります。
ここからは現代の沖縄との関係は明確です。
グスク文化は中国や東南アジアとの交易を行い、農耕も不十分ながら実施されており、さらに九州にも交易を広げていました。
貝塚人と比べるとグスク人以降の現在の沖縄人は形質がかなり変化しているようです。
それが環境変化によるのか、中国などからの移住者によるかは完全には解明されていないとのことです。
歴史関係の本はよく読んでいますが、考古学関係はあまり読んだことがなかったので、興味深いものでした。