爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

エネルギー消費量半減のための社会改革 2 実際の数値目標

エネルギー使用量削減の目標としてとりあえず半減としました。

もちろん100年、200年先というスパンで見ていけばそのような程度では足りずに桁違いに削減する必要があるのでしょうが、とにかく削減の方向性を作っていくだけでも始めないことには安定化社会への変革はその端緒にもつくことができません。

 

2007年のエネルギー消費量は原油換算で約4億Klだそうです。(資源エネルギー疔資料)

この半分の消費量であったのは1970年頃のことです。ちょうど高度成長期が終わりに近づき、大阪万博でそれがさらに続くかのような幻を皆が見ていた時期ですが、その直後にオイルショックが訪れました。

しかし庶民の生活の中でのエネルギー消費というものは今と比べるとかなり低いものでした。

私はちょうど高校入学の頃でしたが、家にはクーラーは一台もなく、テレビも居間に一台でした。冬になると電気コタツは使いましたが、あとは灯油のストーブを使っていました。

また、東京郊外であり父も自動車免許も持っていなかったために自動車もありませんでした。

 

しかし、エネルギー消費を半減することを目標にするとしても、1970年当時の社会に戻すわけではありません。現在と当時とはエネルギー消費構造がまったく異なります。

先ほどの資料には部門別の集計も含まれています。産業、運輸、民生に分けられていますが、おおまかに言って産業は工場など、運輸は鉄道・自動車輸送など、民生が家庭でのエネルギー消費ということです。

これが、2007年の4億Klでは、産業45%(1.8億Kl)運輸23%(0.9億Kl)民生31%(1.3億Kl)という構成になっています。

それが1973年の値では、総計2.8億Klに対して、産業66%(1.8億Kl)運輸16%(0.5億Kl)民生18%(0.5億Kl)となっています。

 

実に、産業部門では40年以上たってもほとんど増加せず横ばいのエネルギー使用量の推移です。

一方、民生部門での消費増加が激しいもので、倍以上の伸びです。運輸部門でもかなりの伸びを示しています。

 

つまり、工場などでのエネルギー使用は装置の省エネ化、工程の見直しなどであまり増加しないまま来ているということですが、家庭用などではエネルギー使用を促すような家電等が非常に増えてしまったということです。また、運輸ではトラック輸送の増加というのも大きなポイントでしょう。

 

現在のエネルギー使用状況をそのまますべて半分にすれば総使用量も半減するわけですが、社会の在り方としてそれで良いはずはありません。どこをより削減するか、またどこはある程度残すかということで社会の姿は大きく変わっていきます。

場合によっては現在のエネルギー使用の幾つかの局面は完全に排除することも必要になるかもしれません。