爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「次に来る噴火大地震」木村政昭著

あちこちの火山で噴火活動が活発になっていますが、御嶽山噴火を一昨年に予測していたという琉球大学名誉教授の木村さんが今年の1月に急遽出版された本です。
おそらく、火山学、地震学研究の主流とはかなり異なる方向での研究であろうと思いますが、地震の発生と火山活動とは密接に関係があるという考え方のようで、最近の全国各地の火山での活動活発化はやはり2011年の東日本大震災との関連が強いということのようです。

プレートテクニクス理論により、地球上のプレートが押し合っている状況でその境界でのストレスというものが地震と噴火の原因となっているのですが、そのストレスの高まりというものを色々な地震と火山のデータを蓄積していけば、ストレスの高まりというものが判るそうです。地震と噴火の起こった場所を地図上でプロットしていくと所々に台風の目のような空白域が見えてきます。それを「地震の目」「噴火の目」と考え、その起こる周期なども考え合わせると次の発生も大体予測できるということです。

地震で緊急性の高い空白域は、北海道東方沖、伊豆諸島沖、日向灘付近ということです。世間で言われているような、東海・東南海・南海の地震は2009年の駿河湾地震でストレスが軽減されてしまっているために当分はないのではと言うことです。
また、火山では何と言っても富士山の危険性が高まっており、それも普通に言われているような富士山南側からの火山灰噴火ではなく、北山麓からの溶岩噴火ではないかと言う推測をされています。

意外な気もしますが、火山噴火と地震発生の関係というのはあまり論じられたことがないそうです。しかし、著者によればこの関係は非常に密接なものであり、これまでの大きな噴火と大地震発生とはその距離と発生年まで考慮すると歴然としているとか。しかし、20年・30年経ってからの発生も関連していると言われても、それが地質時代の長さから考えればわずかな時であってもちょっと人間の時間から見てみると密接とは感じにくいかも知れません。

そんなわけで、確かに予測はされているということなんでしょうが、誤差がプラスマイナス何十年と言われてもあまり参考にはなりそうもありません。結局は日本中どこでも地震や火山噴火の危険性はあると言われているように思えます。