爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「不安大国ニッポン」朝日新聞経済部著

2005年当時に朝日新聞紙上で連載された記事をまとめたものです。
10年近く前の状況ですが、現在でもまったく問題点は変わっていないようです。
前文には景気回復したとありますが、実際はそのようなものではなかったことは今では明らかでしょう。

格差拡大は現在はさらに広がっているようです。
不安社会という視点では企業でのリストラによる失業の増加、監視社会というものも並立させて語られています。
市場競争激化という面ではちょうどマネーゲームが過熱し投資ファンドというものの活動が激しくなっていた頃の記事のために大きく取り上げられています。
若年層の失業増加、技術伝承が途絶えるなど現在まで続く大きな変化がようやく認識されてきた頃ということもあり、それも詳述されているのは当然でしょう。

環境資源問題では当然ながら石油高騰と代替エネルギー問題、ゴミの問題など、有害物質なども取り上げられてはいますが、この辺の記述がきりっとしないのは、経済部が書いているからということもあるのでしょうか。類型的で大本営発表そのままのようです。

出版はちょうど小泉内閣郵政選挙をやった後の頃です。その小泉元首相が脱原発で選挙を主導するということも起こるほどに時代が変わっているとは言えますが、社会状況はよりひどくなるばかりです。