爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「福島みずほの日本再生 生きにくいぞニッポン!!」福島瑞穂著

福島さんは2013年の参議院選挙で社民党が敗北したことを受けて党首を辞任、その後副党首となっているということですが、本書は最初に社民党党首に就任した2003年の直後に書かれたもので、様々な問題に対する政策を挙げたマニフェストのようなものとなっています。

その後も社民党の党勢は回復せず、民主党政権時にはいったんは協力して入閣したもののすぐに袂を分かつということになり、存在感はさらに薄くなっていますが、この後はどうなるのでしょうか。

ともあれ、その最初のころに意気込みをもって語られていることを見直すということは、なぜダメだったかということの反省にもなるかもしれません。

 

 福島さんは弁護して長く活躍され、夫婦別姓選択制の推進や婚外子の差別、外国人差別などの問題に取り組んできましたが、1998年に参議院議員選挙に立候補し当選し、その後同党幹事長から党首に就任しました。したがってやはり人権問題に特に関心が高いものと思います。

 

2003年当時と言えば自民党小泉首相の時代であり、規制緩和の掛け声のもとおかしな政策を連発していたころです。また安倍晋三を幹事長として起用したことでもその後の展開を暗示させるものでした。

福島さんとしても非常に言うべきことが多かったことでしょう。

 

女性が一人でも生きられる年金制度をとか、税金は利権のためではなく市民のために使うとか、平和にこだわり平和を輸出できる国にとか。非常に理想的な政策が書かれています。

まあ、産業関係では「地方に雇用の場を作る環境ビジネス推進」とある程度で、そこが弱さを露呈しているようです。

一口で言って、制度の不備を直すべきと言う点については非常に良いことを挙げているのですが、その当時も現在でも求められている産業をどうするか、景気を良くするにはどうするかと言う点についてはほとんど何も語っていない(語れない)というところでしょうか。それが社民党というものの弱さだったのかもしれません。

 

それはさておき、書かれている中で印象的なところを。

アメリカでは刑務所の受刑者数というものが増加し続け、刑務所が満員と言う状態だということは現在でも有名なことですが、実はアメリカ社会において犯罪件数さらには殺人事件件数まで近年減り続けているそうです。

にもかかわらず刑務所には人が溢れるというのは、取り締まり強化が続きどんどんと刑務所に放り込むということが続いているためだとか。

 

日本でシングルマザーとなった女性が父親に殴られました。さらに会社でも子供が病気だからと休みを取ろうとしたら会社側に拒否されたそうです。そこでオーストラリアに行って難民申請をしたら政府から「社会的迫害を受けた」と認められ、難民認定されたそうです。日本の状況というものは難民以下なのかもしれません。海外の難民受け入れを渋るはずだ。

 

一人一人が電気を節約すれば原子力発電に頼る必要もなくなり、自然エネルギーとくにバイオマスエネルギーで地方を活性化できるという主張は、やはり弱点露呈のようです。

 

現在の社民党の主張を見てもこの本のものとほとんど同じのようです。党勢はさらに低迷し衆議院3名、参議院2名のみですか。やはり何かが足りないのだと思います。