爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

エネルギー文明論「石油の無くなる100年後の世界 (4)各論・情報通信 (5)各論・化学工業」

(4)各論・情報通信
現代文明のもっとも象徴的な一面が情報通信の発展です。世界経済というものもそれなしには成り立たなくなっています。
情報通信事業は、実際に物資や人間を移動させるのとは異なりエネルギーの使用割合は低いものです。それでも現在は情報量が莫大になっているためにエネルギー使用も無視できるわけではありません。
とはいえ、流通や人間の移動が困難になってきたとしたら、情報だけ届いたところであまり意味はないでしょう。WWWなんというものも人々の生活に関係なくなったとしたら存在の意味もなくなるかも知れません。
また、携帯電話網というものに関しては電波塔の建設やその他のインフラ整備には相当なエネルギーが使われていますので、これはエネルギー高騰時代には存続不可能になることが予想できます。まあ、人々の動きが小さくなれば携帯電話というものも不要かもしれませんが。
とはいえ、機械工業などと比べればエネルギー使用の割合はまだ少ない分野なのでしばらくの間は残るかもしれません。しかし必要性が無くなったということが知れ渡れば無駄なエネルギー使用はやめるということになるのではないでしょうか。

(5)各論・石油化学工業
現代文明を特徴付けているもう一つの大きな要素は石油を燃料としてではなく有機化合物の原料として用いて成り立っている石油化学工業があります。
プラスチックや合成繊維など、このような石油由来の有機物からの合成化合物なしでは今の物質文明は成り立たないでしょう。

エネルギー業界は石油供給減少という事態に対しての感受性が弱いのかもしれませんが、石油化学工業界は一応その怖れは持っているようです。?しかし、そのために石油は化学工業原料だけに使わせるべきで、他の用途には代替エネルギーを開発しろなどと言う人もいるようで、まあ論外な議論でしょうが。

プラスチックの用途などと言っても「ほとんどすべて」と言わなければならないほどの状況です。それらのものは木材や鉄などで作ることができたとしても現代では不可能になっています。これが石油価格の高騰に伴ってプラスチック価格も高騰して行き、やがてはとんでもない価格になって使用不可能となるということになりかねないと言う予想です。

そうなった場合にどうするか、どうなるか、ほとんど想像もできないように感じられます。それほどまでにプラスチックにどっぷりと浸かった社会になってしまいました。

植物由来プラスチックなどと言うものを研究している人もいますが、これも焼け石に水と言うのもおこがましいほどのものにしかならないでしょう。

この分野も食糧と同様、考えるだけでお先真っ暗と言う感覚に陥ってしまう状況ではないでしょうか。