ウィキリークスが各国(特にアメリカ)の秘密文書を暴露したことで様々の問題が持ち上がりましたが、最近は少し沈静化しているのでしょうか。
それでもアメリカで秘密漏洩の騒ぎがあったり、また日本では秘密保護法が成立したりとその方面の話題は事欠きません。
ウィキリークスの問題を整理して考えると、それが誰も知らなかったことを暴露して大問題になった。あるいは、誰もがうすうす感じていたことが正しかったことが明らかになった。ほとんど明らかだったことを追認しただけで面白くもなかった。などの色々なものがあるのではないかと思います。このあたりの事情が整理されて記述されたのが本書かと思って読み始めましたが、そうでもなかったようです。
著者はジャーナリストのようで、世界の政治経済についても相当な知識を持っているようで、また裏事情にも詳しい方のようです。したがって、前の話で言えば、「ウィキリークスで出た話などほとんど知っていたよ」という感じなのでしょうが、それを書き並べてあっても事情に詳しくない読者にとっては何がなにやら良く分かりませんでした。その辺はちゃんと整理しほしかったというところです。
沖縄返還時の密約に関しても、どこにウィキリークスの問題が関係あるのか分からないままで書き連ねられていますが、密約を明らかにするのは外交上許されないという主張をされていますが、そもそも密約をしたということ自体が許されないことであるのは明白で、その責任はどこにあるかは不問で情報漏洩のことだけを言ってもだめでしょう。まあこの本出版時は民主党政権時代ですが、著者が民主党大嫌いというのは随所に見られますのでその流れで読めば分かりますが。
まあちょっとウィキリークスについて知りたいという思いは完全に裏切られた本でした。